将棋棋士・羽生善治さんに学ぶ「上達の秘訣」

今回は、将棋棋士・羽生善治さんに、ものごとの上達の秘訣を学びます。

 

迷いながら、強くなる(羽生善治 著)

何かを上達したいと思った時、人は懸命に努力をするものですが、できるものとできないものがあります。

持って生まれた先天的な才能でしょうか?

もちろん、それも関係しているでしょうが、もっとも大きな影響を与えているのは、個々の人が持っている“モノサシ”です。

ここで言う“モノサシ”とは、自分が何かを習得するまでの基準タイムのこと。

人は生まれてから育っていく時に、たくさんの種類の“モノサシ”を身につけているのです。

 

たとえば、歩けるようになるまでは一年、言葉がしゃべれるようになるのには二年、自転車に乗れるようになるまでは一カ月、裁縫がきちんとできるまでは二週間など、長いものから短いものまでたくさんあります。

そして、それを基準にして現在取り組んでいることに対して自己評価をしているのです。

ホットケーキは三回で上手に焼けるようになったから、もう少し難しそうなマドレーヌは六、七回はかかるかな、などと考えているわけです。

そのような経験を重ねる中で長いモノサシをつくることは、とても有効となります。

なぜなら、長いモノサシを持っていれば、少なくともその期間は不安になることが少ないからです。

 

たとえばフランス語を流暢に話せるようになるのに三年間かかったとします。

次にスペイン語を勉強しようと思った時には三年は普通とも思えるはずですし、単語や文法で似ているところもあるので、二年くらいかなと見当をつけることができます。

これがアラビア語だったら文字も異なるし、言語グループも異なるので五年はかかると思うかもしれません。

 

途中で挫折をしてしまう多くの場合は、能力がなくてではなく、迷ってしまって、いつまで続ければ成果が出るかわからなくなってしまってやめるのです。

 

また、これはやめる時にも実に有効と言えます。これはできるまでに最低でも十年はかかりそうだからやめようと判断するわけです。

たとえば、私は小さい時にほんの少しだけピアノを習っていた時期がありました。

しかし、今からショパンのピアノソナタをいくら練習しても、一生うまく弾けるようにはならないとわかるのでやらないわけです。

ですから、小さい時にどんな物事でもよいので、一つだけでもいいので長いモノサシができれば、ほかの物事に対峙した時に立ち向かっていけるのではないでしょうか。

 

私たちは、何事に対しても、早く結果を出そうとし過ぎているのかもしれません。

 

古くより、ことわざでも「桃栗三年柿八年」と言う。

芽が出て実がなるまでに、桃と栗は三年、柿は八年かかる。

何事も成し遂げるまでには相応の年月が必要だということ。

 

数ヶ月という単位ではなく、数年、数十年単位のモノサシを持つ。

そういう長いモノサシで見て、取り組んでみる。

 

才能とは、そのような心持ちの中で育っていくものなのかもしれません。

 

あなたのパーソナルコーチ
篠原伸介

ABOUTこの記事を書いた人

パーソナルコーチ。株式会社SKIP 代表取締役。システム開発会社にて通信分野のシステム開発・企画を経て、独立。パーソナルコーチングの他、個人や企業のメディア戦略をサポートしている。